ドイツゴサイコウ

ドイツ語の仕組みについて再考するブログ

外国語習得に必要な4つの基本能力② 読解力編 

皆さんこんにちこんばんは。今日は、先日紹介した外国語に必要な4技能のうちの一つ、読む力(=以下、読解力)について考察します。

 

ドイツ語を勉強するうえで避けては通れない課題、それはドイツ語で書かれた文章を読むこと。学習レベルごとに出される課題は変わりますが、読解力は初級から上級までレベルに関係なく要求されます。

 

読解力の特徴は何といっても、理解の対象が書き言葉であること。書き言葉は、基本的に話し言葉と比べて文の構造がとても複雑です。例えば、話し言葉でいくつかの文に分けて話される内容も、書き言葉では1文にまとめて書くのが好まれます。

例:Es gibt eine Organisation. Sie helfen Kindern im Armut. Ich unterstütze sie. (口語)

  ある組織があって、そこでは貧困下にある子供を助けてるの。私もその組織を支援してる。

  Ich unterstütze eine Organisation, die Kindern im Armut hilft. (文語)

   (私は)貧困下にある子供たちを支援する組織を支援している。

 

書き言葉は、レベルが上がれば上がるほど構造が複雑になっていきます。上級レベルで習う構文のほとんどが、学術語でしか使われない超難解な構文です。例えば、名詞化(=Nominalisierung)、分詞構文(=Partizipialkonstruktion)など。このレベルの文法だと、日常レベルで使うことはほぼないので、会話でこの構文を使っても瞬時に理解できる人は少ないです。少なくとも、こんな話し方をしてるとほぼ100%変人扱いされます。

例:Ich habe heute viele zu machende Hausaufgaben. (文語、とっても変!!)

  私には今日解くべき宿題がたくさんある。

   Ich muss heute viele Hausaufgaben machen. (口語)

  今日はたくさん宿題をしなくちゃ。

 

このように複雑な構造の文を読むことに慣れるには、やはり文法を理解してしまうのが一番早いです。B2~C1くらいになると、関係代名詞と分詞構文の書き換えの練習や名詞化の練習を集中的にさせられるのですが、個人的にこの練習をしてから読解力がぐんと上がった気がします。

 

読解力の課題には、他の3技能にはないメリットがあります。一つは、正しいアウトプットを求められないこと。これは、テキストを読んで理解するのに必要なのは受動的な能力だけだからです。もう一つのメリットは、話し言葉と違って瞬発力を求められないので、時間に余裕を持って課題と向き合えること。時間がある分、何度も文を読み返して未習単語の意味を推測したり、自力で調べることもできます。

 

読解力のいいところは、練習すればするほど効果が目に見えて実感できるところです。この能力は自己完結なところが大きいので、自分が理解できたか・できなかったかを直に感じられる読解力は努力型の人間の味方です。わたしも、会話力が伸び悩んでいた頃、練習すれば結果が伴う読解力を心の拠り所にしていました。

 

典型的なドイツ語のテストであるTestDaFやゲーテの認定試験の読解力試験は、日本のセンター試験のような選択問題が多いです。そのため、読んだ内容を自分で書きだす必要もなく、慣れてしまえばテスト対策が簡単な分野でもあります。

ただ皆さんに注意してほしいのは、ドイツ語を勉強する際にテスト対策だけを目的としないこと。テストで高得点を取るための小手先のテクニックを使っていると、後から選択肢のないまっさらなテキストを読んだとき、文の大意や大事な発言を自分で読み取る能力が鈍ってしまいます。私はこの罠にはまって大学に入ったときに苦労したので、ドイツ語を皆さんにはあくまで自力で文章を理解する能力を伸ばしてほしいな~と思います!

 

さて、読解力アップにつながる練習法は、まずドイツ語そのものを読むことに慣れること。おすすめなのは、いきなり読みたい本(大人向けの小説・古典文学や学術書など)から始めるのではなく、まずはシンプルな文章を読むこと。

おすすめなのは、

 -  学習者向けのテキスト (各レベルで出てくる文法・語彙を使って書かれた推理小説などがドイツ語教材の大手出版社から出ています)

 -  児童文学 (中・上級以上になるとミヒャエル・エンデなどのファンタジーもおすすめです)

 -  翻訳された本 (ハリーポッターなど、内容を知っているもの+翻訳過程で文が簡略化されることが多い)

を読むことです。

また、自分とモロに関係のある文章も理解力アップに一役買ってくれます。例えば、

 -  希望大学の募集要項(=Bewerbungskriterien)やシラバス(=Vorlesungsverzeichnis)

 -  自分の専攻科目と関係のあるポピュラーサイエンス系の記事 (Deutschlandfunk Nova等)

 -  すぐに知識を自慢できる時事ネタ(Deutsche Welle)

などがおすすめです。

 

明日は、4技能のうちの2つ目、聴解力について考察します☺

 

おすすめサイト:

https://www.dw.com/de/themen/s-9077

(Deutsche Welle)

https://www.deutschlandfunknova.de/

(Deutschlandfunk Nova)

 

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