ドイツゴサイコウ

ドイツ語の仕組みについて再考するブログ

「シュヴェーリン」?? ― 特殊な形態素についての考察

みなさんこんにちこんばんは。大変お久しぶりです。ちらっとドイツ語の日本語標記についての議論を目にしたので、今日はしばらく温めていたネタにでも手を付けようと思います。

さて、湖上の宝石との呼び名が高い北ドイツの観光地、Schwerin。みなさんはどんなカタカナ表記を使いますか?わたしは、数年前この街を実際に訪れるまで、「シュヴェーリン」が正しいと思い込んでいました。ドイツ語で友達に旅行の報告をするときも、Schwerinに行ったよ、なんて e の音にしっかりアクセントを置いて。

でも、一体どの街に行ったのか、必ず聞き返されてしまいました。それもそのはず。実はこの単語、アクセントが後ろに来るのです。Schwerinといったように。カタカナ表記だと、「シュヴェリーン」になります。

気になって、「シュヴェーリン」と「シュヴェリーン」をGoogleで検索してみたところ、前者のヒット件数は3090件、後者に至っては23900件もヒットするではないですか。なんと7倍以上の圧倒的な差。ドイツ語に詳しくなったつもりが、実は一人でとんでもない覚え間違いをしていたことを思い知らされたわけです。

さて、似たような地名をさらに詳しく見てみると、面白い現象が浮かび上がってきます。例えば首都、Berlin。こちらは「ベ」が強調される日本語の「ベルリン」とは似てもつかない発音で、R は「ル」としては発音されず、「-in」にアクセントが来ます。あえてカタカナで表記するなら、むしろもはや「べリーン」くらいの感じです。例をもう一つ。ポーランド語読みで「シュチェチン」、ドイツ語ではStettinとして知られたこの街も、「-in」が強勢です。「シュテティーン」くらいの勢いで。

ポーランドという地名をきいてハッとする鋭い読者の方もいらっしゃるかもしれませんね。実はこの「-in」はスラブ語由来で、固有名詞につく時は必ず強調される運命にあります(注: Ortsnamenの欄参照、女性を表す「-in」とは別物)。というわけで皆さんも、「-in」で終わる人名に出会った際にはぜひ自信を持って最後の音節を思いっきり強調して発音しましょう。

 

最後に、悲しい思い出話で締めようと思います。時は2020年、コロナ禍ですっかり旅行が制限された際、割と短距離で向かえるという理由で一人弾丸旅行の目的地に選んだシュヴェリーン。ホテルではなぜかだだっ広い部屋に通され孤独を味わい(タオルがめちゃくちゃ臭かったけどレセプションは不在で電話も不通)、レストランでは一人なのを理由に入店を拒否され、スーパーの閉店時間ギリギリに食料を入手して、お城と湖をバックに一人さみしくモサモサ食感のパンを食べた記憶のある街です。この時、一人旅行はもうやめようと自分に誓ったのでした。当時の写真を見ると、孤独感溢れる内容になっていてなかなかシュールです。

 

夜のシュヴェリーン城

拗ねてる?彫刻

 

その後北ドイツではいい思い出がたくさんできたので、結果オーライですが。お城も街並みもものすごく綺麗なので、機会があればみなさんも是非(できれば他の人も一緒に)シュヴェリーンに行ってみてください。

 

それではまた☺

 

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