ドイツゴサイコウ

ドイツ語の仕組みについて再考するブログ

コロケーションって?

みなさんこんにちこんばんは。今日はウイルスのせいもあり一日中家にこもってまじめに勉強していたので、その余力を使ってコロケーションという概念についてドイツ語にフォーカスを当てながらお話ししようと思います。

 

みなさんは、コロケーションという言葉の意味をご存知ですか?ゆとり前後の世代なら、きっと一度は電子辞書に入っている「コロケーション辞典」を目にしたことがあるんではないでしょうか。私は、言語学を知る前は、なんかオレンジレンジのロコモーションみたいな語感の言葉、くらいの認識しかありませんでした。

さて、本題のコロケーションですが、これは大まかにいうと「決まった言い回し」のことです。意訳すると、熟語と取ることもできます。ドイツ語では、単純にfeste Verbindungなんて呼ばれることもあります。非常にざっくりした概念なので、例をいくつか挙げていきます。

 

①名詞と動詞の組み合わせ

どの言語にも、決まった単語以外を使うとすごく変に聞こえる言葉があります。代表的な例は、Zähne putzen。日本語では「歯を磨く」といいますが、これを直訳してドイツ語でZähne polierenなんて言おうもんならすごく変なことになります。歯医者にでも行って、歯を小さく削るのかな?って感じに聞こえるからです。ほかにも、einen Vortrag halten(= 講演する)、Willkommen heißen(= 歓迎する)など、暗記しないと絶対覚えられないよ~ってものも多いです。でも、あんまりまじめに覚えようとしなくても、ドイツ語に日常的に触れる機会さえあれば気付いたら自然な言い回しを覚えていることがほとんどなので、めげないでください!

 

②形容詞と名詞の組み合わせ

言葉というのはとことん理不尽なもので、似たような意味を表す言葉でも、決まった形容詞しか使わない、なんてことも多いです。

例としては、tiefes Wissen(= 深い知識)などがあります。これは日本語でも同じ言い方をするので、特に違和感を感じませんね。他にも、erheblicher Einfluss(= 多大な影響)のように、形容詞単体だと何となく意味を掴みづらいけど、名詞と一緒に使われることでスッと意味が理解できるようなものもあります。これは学術ドイツ語で非常によく聞く言い回しですね。

日本語とドイツ語に齟齬がある場合、ドイツ語の自然な言い回しがなんとなく不自然に感じられることも多いです。例えば、Heller Kopf (=頭がいいこと)。日本語では「良い」頭なのに、ドイツ語だと「明るい」んですね。そのほかにも、強弱を表わす形容詞はかなりトリッキーです。

 

③前置詞と名詞・動詞のつながり

B1レベルになってくると、場所を表す名詞とそれと組み合わせる前置詞の表みたいなものをもらって覚えさせられて戸惑った人もいるかもしれませんね。まさに、あれのことです。例えば、auf dem Markt(= 市場で)、im Park(= 公園で)などなど。これに名詞の格が加わって頭がごちゃごちゃになった方もいるかもしれませんが、実はこれ、かなりシンプルで、ただただ名詞ごとに使われる前置詞が単語ごとに決まっている、というだけです。それに加えて、移動がある場合は4格、ない場合は3格が使われるだけです。

名詞だけではなく、動詞も同じように決まった前置詞を取る場合が非常に多いです。よく見る例は、sich freuen auf etwas(= 何かを楽しみにする)、denken an etwas(= 何かのことを考える)。この場合の前置詞は、意味によっていくつかバリエーションがある場合が多いので、少し混乱することもあるかと思います。例えば、sich freuen über etwas (= 何かを喜ぶ)、denken über etwas (= 何かについて考える)。ただ、意味が違っても、基本的に動詞ごとに決まった前置詞しか使われないことを頭の端にとどめておく必要があります。

余談ですが、前置詞を当てはめる系の課題を解くコツは、文を大きめのまとまりで見ることです。中高の英語の授業で品詞分解をしたことを覚えていれば、それと全く同じ要領で、前置詞が動詞によって決まるのか、それとも名詞によって決まるのかを見極めることができます。必要な前置詞を動詞・名詞ごとにしっかり暗記できているのかとはまた別の話ですが…。レベルが上がるにつれて絡む要素も増えてきて、最終的には意味による前置詞の使い分けが問われます。

 

④機能動詞句

上の③で挙げた動詞・名詞と前置詞の組み合わせが一つの句の中で起こるのが、機能動詞句です。例えば、Fragen stellen an jemanden (= 誰かに質問をする)など。この場合、Frage stellen という組み合わせに加えて、この句は an という前置詞と組み合わせられることが決まっています。これに関しては純粋な暗記という側面が強いです。私的なドイツ語のラスボスは、実はこの機能動詞句です。特に学術ドイツ語では頻出の表現方法です。実は日本語にも同じようなものがたくさんありますが(例:成功を収める)、普段はあまり意識しないことが多いですよね。

 

⑤ことわざ

 決まった単語だけで表現されることわざも、コロケーションの一種としてみなすことができます。習いたてのことわざをちょっと違う単語を使って表現しただけで伝わらなくなるのはあるあるです。

 

さて、いろんなコロケーションの例を紹介してきましたが、少し厄介なのは、意味によって単語の組み合わせにバリエーションが発生する場合です。なんとなく言いたいことは決まっている時にその意味に沿って自然な言葉を選ぶには、Bauchgefühl、いわゆる直感が大切になってきます。より自然な文章を書こうと思っても、このせいで悩む人も多いのではないでしょうか。私のおすすめは、何といってもDudenのオンライン辞書。頻出単語なら、ほぼ必ずと言っていいほどよく使われる組み合わせをVerben(= 動詞)、Adjektive(= 形容詞)、Substantive(= 名詞)といった品詞ごとに提案してくれます。

ほかにも、オンラインのコロケーション辞典や、本などがあります。ぜひ、コロケーションを大切にして、自然なドイツ語を書けるように頑張ってみてください。

 

みなさんもウイルスで大変かもしれませんが、一緒にドイツ語を勉強しながら乗り越えましょう!それではまた☺

 

追記:コロケーションの調べ方をまとめた記事を更新しました。詳しくはこちらから!

 

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