ドイツゴサイコウ

ドイツ語の仕組みについて再考するブログ

ドイツにも文系・理系ってあるの? ー ドイツ語力とのつながり

みなさんこんにちこんばんは。今日は、ドイツの大学の文系・理系の違いと語学力の関係について考察していこうと思います。

 

さて、ドイツにも文系・理系の区別があるのかどうかは、今までもよく議論されてきたテーマですね。ドイツの学問分野は、主にGeisteswissenschaft(= 人文科学)とNaturwissenschaft(= 自然科学)の二つに分けることができます。基本的には、Geisteswissenschaftが文系、Naturwissenschaftが理系に対応しています。

ドイツの学位には、主にBachelor(学部課程)、Master(修士課程)とPromotion(博士課程)があるのですが、BachelorとMasterの正式名称にはそれぞれ、Bachelor of Arts, Master of ScienceといったようにArts/Scienceという記載があります。Geisteswissenschaftと言われる科目にはArts、Naturwissenschaftと言われる科目にはScienceがつくといった要領です。この二つの分野の違いですが、ドイツ語の使用という観点から語られることはそうないのではないでしょうか。

 

まず、文学・哲学・歴史学といった文系科目は、ドイツをメインにした分野であればあるほど、ドイツ語力が問われる印象です。特に一次資料の読み込みにドイツ語が必要不可欠なこともあり、ドイツ語で何でも読めちゃう!みたいなガッツがないとなかなかついていくのが厳しいです。しかし、学術の基本として、英語の論文も理解できることも求められます。

五年前、私が歴史学科に入学して一番最初の授業で言われたのは、口頭発表でも、提出する論文でも、ドイツ語力が伴わなければ研究の妥当性が下がる、ということでした。外国人でドイツ語を理解して最低限の表現を使うだけでも精いっぱいなのに、ドイツ語の美しさにまで気を遣うなんて無理じゃんと思ったこともあり、この言葉が未だに頭から離れないのですが…。

このように、文系科目はドイツ語力が直に個人の能力と結び付けられる感覚が強く、割と語学力に関してシビアな世界という印象が強いです。もちろん先生の裁量によるものが非常に大きいとは思いますが。また、科目によってはラテン語、フランス語など、ドイツ語以外の外国語力も求められることもよくあります。

 

さて、それに反して理系科目では、国際共通語である英語の存在感が非常に強く、俗にいうDenglisch(ドイツ語と英語を混ぜこぜにした言葉)を使うことも多いです。一般的な言葉と思っていた単語が、実は自分の科目でしか通じないジャーゴンだった、なんてことも頻繁にあります。基本的に扱う対象は概念がメインで、言葉はどちらかというと二次的なもの、といった雰囲気です。伝わることがメインのため、ドイツ語自体の美しさを求められることは稀です。

そんな感じなので、論文を書く時や発表するときには最低限の言い回しができれば認められるようなゆるめの空気を感じます。なので、文系科目ほどのドイツ語力を求められることはない代わりに、ドイツ語を頑張って勉強してきた意味を見失いかけたりすることもあったりなかったり。かといって基本の授業言語はやっぱりドイツ語なので、発表や論文ではやっぱりそれなりのドイツ語力は求められます。

ただし、基本的な概念に使われる単語を認識できなくて躓くこともあります。例えば、数式の読み方や学校レベルの専門用語は日常的な言い回しとほぼ変わらないため、最初は混乱することも多いです。例えば、関数を意味する"Funktion"。このような言葉は学校で習ったことを前提とされることが多いので、思わぬ落とし穴にはまらないよう注意が必要です(ちなみにこのような専門用語にはGoogle翻訳wadokuがおすすめです)。

 

こちらの大学での生活を通して、科目による留学しやすさってあるのかなあと思ってきたのですが、やっぱりかなりの差があると思います。

 

一番の大きな違いはやっぱり、ドイツ語力に求められるレベルです。ドイツ語を使って思考するのが目標の文系と、はっきりした形を持つ思考をドイツ語という言語を借りて表現する理系とでは、ドイツ語を使うことの目標やそれに必要なレベルが全く違うからです。個人的には、理系にあたる科目の方がずっと勉強しやすいように感じます。なぜなら、どんな言語を使っても、表現したい概念が既にはっきりしているから。もちろん学科そのものの雰囲気や、その科目への興味の強さも強く関係しているのですが。

余談ですが、どの科目でも英語力は必要不可欠といった感じで、上の課程に行けば行くほど、英語力が求められるようになります(これは日本でも事情は全く同じだと思います)。今までドイツ語のために英語力をなおざりにしてきたのに英語力まで求められるんかーい、とツッコミたくもなりますが…。ただし、ドイツ語を勉強すると、不思議なことに英語でも自然と理解できる単語が増えていることに驚くでしょう。これはドイツ語と英語の言語的な近さと関係しています。

 

あくまでこれは 私個人の経験を基にした記事なので、文系・理系といっても、もちろん大学や科目によって様々な違いがあると思います。みなさんの経験や考えをシェアしてもらえると嬉しいです。

今日もお読みいただきありがとうございます!それではまた☺

 

追記:3/24 記事を一部変更しました。

 

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