ドイツゴサイコウ

ドイツ語の仕組みについて再考するブログ

学習スタイルの違い

みなさんこんにちこんばんは。ドイツはいつものようにまだ夜です。今日は、語学学校で気づいたドイツと日本の外国語の授業の違いについて書いていこうと思います。

 

私はドイツの語学学校に通ってみてすごく驚いたことがあります。それは、口達者な学習者が多いこと。彼らを観察していると、自分が感じたこと・思ったことを言葉に出す作業に慣れている人が多いように思います。他にも、言っていることが完全に伝わらなくても、文法がどれだけ間違っていても気にせず話し続ける精神力の強い人も多い印象です。

 これは、母国で学習してきた授業中の振る舞いや、学校教育で何が重視されるかということと深く結びついている気がします。

 

語学学校を卒業(?)してから常々思うことですが、ドイツ社会では、自分の意見をはっきり口に出すことが求められます。その時に評価されるのが、主張の正しさではなく、いかに論理的に主張できるか、他の人を納得させるかという点です。こちらには、一見変わった主張でも、信念を持って主張すれば受け入れられる土壌があります。なので、一般的な授業でもこの姿勢が一番大切になってきます。

ドイツ語の作文・口頭試験で嫌になるほど自分の考えを書かされる・述べさせられるのも、こういう理由があるからです。

一方日本では、自分の考えていることを口に出すのは何となく照れ臭いような感じがしませんか?私は学生時代、周りにどう思われるのかが怖くて、授業中ほぼ手を挙げられなかったことを鮮明に覚えています。授業でも、大抵先生の思う正解があって、それを当てられないと恥ずかしい思いをすることがありました。こういう経験を積み重ねるうちに、だんだん自分の意見を持つこと・それを外に出すことを諦めてしまったように思います。

 空気が読めない・忖度という言葉が数年ごとに流行語になるのは、主張することなしに相手の思う正解を当てることが美徳とされているからだと思います。

日独二つの文化を比べてみると、学生を評価するとき、ドイツは加点方式、日本は減点方式的なところがあるように思います。ドイツでは目立たなければ0点のまま、それなら間違っても主張することが大切で、日本では悪目立ちすればするほど減点されてしまうような。もちろん正しい主張であれば加点されますが、「正しさ」の存在感が非常に強くて。(このブログでは、どちらの文化がいい・悪いと決める意図はありません。)

 

さて、件のアクティブな学習者を見ていると、大抵ドイツ文化と似たような学習スタイルを持つ人達が多い気がします。意見をまとめて主張するのが大切で、どちらかというと西洋・南米系に多いような。逆に、中国やタイの子たちと意気投合できたのは、このような文化が似ていたからなんじゃないかなーと思ったり。やっぱり慣れていないと、常に主張し続けることに疲れてしまうし。

 

同じように、文法の間違いを気にするか・気にしないかも教育システムの違いが大きな役割を果たしているように思います。

伝統的な外国語の授業はどこの国でもそうですが、間違いがあれば減点されて、難しい文法が分かれば評価されます。これがテストを通して成績に反映されて、テストの点が高いほど評価される仕組みです。これが学校の教科になると、どうしても個人の能力そのものと組み合わされてしまうので、間違ってはいけない、テストで失敗したらいけない、悪い点を取ったらいけないからテストに合わせて勉強する。。という悪循環が出来あがってしまいます。そのうえ、すぐには使えなくてもやたら難しい文法を教えられたりして。

でも、最近のドイツ語・ヨーロッパ諸言語の授業は、テストの点数ではなく、コミュニケーションに重きを置いています。どれだけ正しく、難しい文法を使って話せるかというより、どれだけ円滑に話せるか。特に初心者にコミュニケーションの円滑さを求めるのも酷ですが、話す能力は話すことによってしか練習できないですよね。

ドイツでは、失敗は当たり前で、むしろ失敗から学ぶことが重視されています。話すことは失敗と隣り合わせだけど、それを最終的な評価と思わずに、次に頑張るためのエネルギーに昇華できるか。結局、ドイツの語学学校ではこんな姿勢が求められている気がします。

観察する限りでは、この学習スタイルにすぐに慣れることができる学習者も多いらしいです。成績や評価に囚われていないから、自由にいれるのかもしれませんね。もしかしたら、自国で習った学校の科目や自分自身に対する評価とは違うものとして捉える心の余裕があるのかもしれません。

 

日本で習った・すでに理解した文法の知識がうまく生かせなかったり、本当はできることを先生に気付いてもらえなくて辛い思いをすることもありますが、この学習スタイルの違いに目を向けてみると少し気が楽になるかも…?

文化の違いを深く感じる海外生活ですが、今まで慣れていた考えから少し離れて、別の考え方を試してみるのもすごくいい経験になると思います。もし、日本と事情が違って戸惑っている人がいても、へこまないでチャレンジしてくださいね☺

 

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