ドイツゴサイコウ

ドイツ語の仕組みについて再考するブログ

外国語習得に必要な4つの基本能力③ 聴解力編 

皆さんこんにちこんばんは。また明日と書いた次の日には記事を更新しない法則に気付きだした筆者です。さて、今日は前回に引き続き外国語習得に必要な4技能のうちの一つ、聞く力(=以下、聴解力)について考察していきます。

 

聴解力は日常会話において欠かせない能力です。誰かと話していて相手の言うことが理解できないと、会話もそれで終わってしまいますからね。

 

聴解力は、昨日紹介した読解力と違い、話し言葉と深く関係しています。話し言葉の特徴は、比較的簡単な構造が使われること。これは、(録音された音源でない限り)基本的に話し言葉は一度きりしか聞くことができないからです。そのため、話し言葉ではより単純な言い回しが好まれる傾向にあります。

 

ただし、構造自体は単純でも、ドイツ語の音声が聞き取れないと致命的です。

そのため、聴解力アップのカギは、日本語の音声システムとは全く違うドイツ語を耳でキャッチできるようにすること。いわゆる聞き取りですね。ドイツ語には日本語にはない音もたくさんあるので、それらをちゃんと認識できるようになるのが聴解力の基礎です。

基本的に、母国語にない音の違いは認識しづらいことが分かっています。ドイツ語にはLとRという全く違う二つの音が存在しますが、日本語にはそれにあたる音が一つしかありません(ラ形)。この違いを聞き取れない人も多いかもしれませんね。あとは、長いÄと長いEの違い認識するのも比較的難しいです。でも、これらの音がドイツ語にあるのは紛れもない事実。。

おすすめの対処法は、LとRを入れ替えた単語、例えばLindeとRindeなど(いわゆるミニマルペア、das Minimalpaar)を聞いて、二つの音の違いを認識できるようにすることと、日本語の仲介なしでドイツ語の綴りと音を頭の中で直接つなげる訓練をすること。

聞き取りが難しい音の練習動画はいろんな人が出していると思うので、探してみると面白いかもしれません。

初めて聞く単語でも何となく綴りを想像できるようになったら、自力でその言葉の意味を調べられるようになるので心強いです。(単語の綴りが分からない時には、音声認識を使ってなんとなくその単語に似た音を吹き込んでみると案外簡単に綴りが分かったりするのでそれもおすすめです。)

 

また、相手(やCD)の話す速度も聴解力と深く結びついています。基本的に、テストや学習者向けの教材ではドイツ語学習者にわかる速度で話してあります。というのも、脳で処理できる音声の速度は、外国語だと母語に比べて劣ってしまうからです。

前にも触れましたが、基本的に授業で接するドイツ語は学習者にわかりやすいように話す速度が落としてあります。上級レベルに向かうにつれ先生も普通の速度で話してくれるようになりますが、それでも外の世界のドイツ語と比べるとまだ大きな隔たりがあります。

ドイツ人と話すようになってみて、二人きりだと何とかなるけどドイツ人が何人かいてお互いで話してるともう何にも理解できない、なんてことはざらにあります。これは、二人きりだと相手が外国人向けにゆっくり話してくれるけど、ドイツ人同士でゆっくり話す必要はないからです。

 

語学テストの聴解問題や語学学校の教材はあらかじめキーワードが選択肢や教科書に書いてあることが多いですが、日常会話となるとそうはいきません。会話の核になっているであろう単語がわからなくてどうにもついていけなくなることも日常茶飯事だったりします。

そんな時有効なのは、話し相手に分からなかったというシグナルを出すこと。表情で伝えるのも、首をかしげるのもアリです。誰かと話していて内容が分かったか確かめられることもあると思うので、そういう時に正直にわからなかったと言う勇気も大事です。相手は大抵会話しているときの違和感で話が伝わってないことに気付いているので、分かっていないことをごまかしても無駄です(笑)。

もうついていけないと思ったら、はっきりと、もう一回言って(=Noch einmal, bitte)や、何て言った?(=Wie bitte?)と聞き返すのも大事です。もしくは、わからない単語があったら意味を説明してもらう(=Was bedeutet das?)ことも必要です。

このように、会話の中で相手にわかりやすく話してもらっているうちに、コミュニケーション力だけでなく聴解力も上がってきます。

 

さて、上記の練習法以外にも、聴解力を上げる方法がいくつかあります。

一つ目は、地道に語彙を覚えること。言われる言葉の綴りや意味が分かっていると、話される内容の理解力もぐんと上がります。

二つ目は、既習の自分の専門分野の講義やポッドキャストを聞いてみること。この場合、語彙自体は知らないものが多くても、説明されている概念が理解できていることによってテーマとなっている単語を自然と認識できるようになることが多いです。自分の専門分野と関係ある語彙は作文でも活用できるので、いろんな観点からおすすめの練習法です。

 

一度単語を認識すると、やたらその単語が耳につく時期がやってくるのですが、私個人的にはあの感覚がすごい好きです。小さい頃いろんな言葉を覚えて楽しかった気持ちが蘇ってくるからです。

 

基本的にドイツ人向けのコンテンツ(映画やドラマ)は話す速度も速くハードルが高めなので最初から挑戦するのはちょっと難しいかもしれません。でも、内容が面白ければドイツ語に触れるいい機会になるので、自分に合った面白いシリーズを探すのも楽しいかもしれませんね。

 

さて、次回は引き続き外国語習得に必要な4技能のうちの一つ、作文能力についてお届けします。またご覧ください☺

 

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