ドイツゴサイコウ

ドイツ語の仕組みについて再考するブログ

コロケーションって?

みなさんこんにちこんばんは。今日はウイルスのせいもあり一日中家にこもってまじめに勉強していたので、その余力を使ってコロケーションという概念についてドイツ語にフォーカスを当てながらお話ししようと思います。

 

みなさんは、コロケーションという言葉の意味をご存知ですか?ゆとり前後の世代なら、きっと一度は電子辞書に入っている「コロケーション辞典」を目にしたことがあるんではないでしょうか。私は、言語学を知る前は、なんかオレンジレンジのロコモーションみたいな語感の言葉、くらいの認識しかありませんでした。

さて、本題のコロケーションですが、これは大まかにいうと「決まった言い回し」のことです。意訳すると、熟語と取ることもできます。ドイツ語では、単純にfeste Verbindungなんて呼ばれることもあります。非常にざっくりした概念なので、例をいくつか挙げていきます。

 

①名詞と動詞の組み合わせ

どの言語にも、決まった単語以外を使うとすごく変に聞こえる言葉があります。代表的な例は、Zähne putzen。日本語では「歯を磨く」といいますが、これを直訳してドイツ語でZähne polierenなんて言おうもんならすごく変なことになります。歯医者にでも行って、歯を小さく削るのかな?って感じに聞こえるからです。ほかにも、einen Vortrag halten(= 講演する)、Willkommen heißen(= 歓迎する)など、暗記しないと絶対覚えられないよ~ってものも多いです。でも、あんまりまじめに覚えようとしなくても、ドイツ語に日常的に触れる機会さえあれば気付いたら自然な言い回しを覚えていることがほとんどなので、めげないでください!

 

②形容詞と名詞の組み合わせ

言葉というのはとことん理不尽なもので、似たような意味を表す言葉でも、決まった形容詞しか使わない、なんてことも多いです。

例としては、tiefes Wissen(= 深い知識)などがあります。これは日本語でも同じ言い方をするので、特に違和感を感じませんね。他にも、erheblicher Einfluss(= 多大な影響)のように、形容詞単体だと何となく意味を掴みづらいけど、名詞と一緒に使われることでスッと意味が理解できるようなものもあります。これは学術ドイツ語で非常によく聞く言い回しですね。

日本語とドイツ語に齟齬がある場合、ドイツ語の自然な言い回しがなんとなく不自然に感じられることも多いです。例えば、Heller Kopf (=頭がいいこと)。日本語では「良い」頭なのに、ドイツ語だと「明るい」んですね。そのほかにも、強弱を表わす形容詞はかなりトリッキーです。

 

③前置詞と名詞・動詞のつながり

B1レベルになってくると、場所を表す名詞とそれと組み合わせる前置詞の表みたいなものをもらって覚えさせられて戸惑った人もいるかもしれませんね。まさに、あれのことです。例えば、auf dem Markt(= 市場で)、im Park(= 公園で)などなど。これに名詞の格が加わって頭がごちゃごちゃになった方もいるかもしれませんが、実はこれ、かなりシンプルで、ただただ名詞ごとに使われる前置詞が単語ごとに決まっている、というだけです。それに加えて、移動がある場合は4格、ない場合は3格が使われるだけです。

名詞だけではなく、動詞も同じように決まった前置詞を取る場合が非常に多いです。よく見る例は、sich freuen auf etwas(= 何かを楽しみにする)、denken an etwas(= 何かのことを考える)。この場合の前置詞は、意味によっていくつかバリエーションがある場合が多いので、少し混乱することもあるかと思います。例えば、sich freuen über etwas (= 何かを喜ぶ)、denken über etwas (= 何かについて考える)。ただ、意味が違っても、基本的に動詞ごとに決まった前置詞しか使われないことを頭の端にとどめておく必要があります。

余談ですが、前置詞を当てはめる系の課題を解くコツは、文を大きめのまとまりで見ることです。中高の英語の授業で品詞分解をしたことを覚えていれば、それと全く同じ要領で、前置詞が動詞によって決まるのか、それとも名詞によって決まるのかを見極めることができます。必要な前置詞を動詞・名詞ごとにしっかり暗記できているのかとはまた別の話ですが…。レベルが上がるにつれて絡む要素も増えてきて、最終的には意味による前置詞の使い分けが問われます。

 

④機能動詞句

上の③で挙げた動詞・名詞と前置詞の組み合わせが一つの句の中で起こるのが、機能動詞句です。例えば、Fragen stellen an jemanden (= 誰かに質問をする)など。この場合、Frage stellen という組み合わせに加えて、この句は an という前置詞と組み合わせられることが決まっています。これに関しては純粋な暗記という側面が強いです。私的なドイツ語のラスボスは、実はこの機能動詞句です。特に学術ドイツ語では頻出の表現方法です。実は日本語にも同じようなものがたくさんありますが(例:成功を収める)、普段はあまり意識しないことが多いですよね。

 

⑤ことわざ

 決まった単語だけで表現されることわざも、コロケーションの一種としてみなすことができます。習いたてのことわざをちょっと違う単語を使って表現しただけで伝わらなくなるのはあるあるです。

 

さて、いろんなコロケーションの例を紹介してきましたが、少し厄介なのは、意味によって単語の組み合わせにバリエーションが発生する場合です。なんとなく言いたいことは決まっている時にその意味に沿って自然な言葉を選ぶには、Bauchgefühl、いわゆる直感が大切になってきます。より自然な文章を書こうと思っても、このせいで悩む人も多いのではないでしょうか。私のおすすめは、何といってもDudenのオンライン辞書。頻出単語なら、ほぼ必ずと言っていいほどよく使われる組み合わせをVerben(= 動詞)、Adjektive(= 形容詞)、Substantive(= 名詞)といった品詞ごとに提案してくれます。

ほかにも、オンラインのコロケーション辞典や、本などがあります。ぜひ、コロケーションを大切にして、自然なドイツ語を書けるように頑張ってみてください。

 

みなさんもウイルスで大変かもしれませんが、一緒にドイツ語を勉強しながら乗り越えましょう!それではまた☺

 

追記:コロケーションの調べ方をまとめた記事を更新しました。詳しくはこちらから!

 

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Hueberの謎 ― ドイツ語の伸ばし棒?

みなさんこんにちこんばんは。非常にご無沙汰しております。さて、今回はドイツ語学習者なら誰でも一度は出くわしたことがあるであろうドイツ語教材の大手出版社Hueber社の読み方について短く考察していこうと思います。

 

みなさんは、この社名の正しい読み方が分かりますか?私は、つい最近までずっと、フーバーなのか、ヒューバーなのか、はたまたフエバーなのかずっと疑問に思ったままでした。

ドイツ語の先生とかCDはフーバーと言っていた気がするし、でももしかしたらウムラウト代わりのueかもしれないし、でもひょっとしたら二つの音節かもしれないし…。
この長年の疑問が、ドイツ語の音韻論を学習しているときにようたく解けることになりました。

 

正解を言ってしまうと、フーバー社なんです。これは、uの後のeが、ウムラウトの代用ではなく、例外的に長母音を示す役割を担っているからです。言ってしまえば、dieのeと同じ役割を果たしていることになります。このような役割を果たす文字には、他に、wohlのhなどがあります。
eとh以外に長母音をマークする文字には、他にcがあります。これは、ごく稀に北ドイツで見られるもので、代表的な例に、Mecklenburgがあります。なのでこの地名、北ドイツの方言では、メクレンブルクというより、メークレンブルクという風に発音されるんですね。
このような役割を果たす文字を、音韻論では、Dehnungszeichenといいます。日本語でに訳すと、伸ばし記号とでも言いましょうか。日本語で言う伸ばし棒と同じ役回りですが、普通の文字で表される分、"ー"よりもずっと見分けづらいですよね。

 

さて今回も非常にコアな話題になってしまいましたが、楽しんでいただけたならうれしいです。
ドイツ語の母音の長短の文字表記の規則も、すごく複雑で面白いテーマなので、いつかこのブログでも取り上げる予定です。

 

それではまた☺

 

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言語学の初歩の初歩

皆さんこんにちこんばんは。お久しぶりです。最近はすっかり寒くなり、さぼり癖がまた出てきているねずみです。

さて今日は、このブログでも何度も使っているキーワード、かつ私の愛する専攻科目である言語学についてちらっと説明したいと思います。

 

そもそも言語学って言われても、何をする学問なのか想像もつかない人が多いんじゃないでしょうか。私も、専攻科目を変える前は、存在すら知りませんでした。

言語学で扱う対象はとても広く、言葉に関する疑問を体系的に明らかにすることが目的です。こういう言い方をしてもすごくはっきりしないので、具体的な例をお伝えしようと思います。

 

言語学で扱う分野は非常に広く、様々な言語的な現象について研究することができます。例を挙げると、

  • 言語の歴史 ー ドイツ語の文法の歴史的な変遷
  • 言語の比較 ー 英語とドイツ語の類似点や違い
  • 言語内のバリエーション ー ドイツ語の方言、話し言葉と書き言葉の違い
  • 言語習得について ー 母語と外国語がどう習得されるのか
  • 言語認識 ― 言葉の理解のプロセス

などがあります。

 

このような対象を分析する際、言葉のさまざまな層に注目することができます。例えば、

  • 音声 ー ドイツ語の方言ごとの発音の違い
  • 文法 ー ドイツ語と日本語の語順の違い
  • 意味 ー ある言葉が示す意味の曖昧さ
  • 語彙 ー ドイツ語と英語の語彙の共通点と違い
  • 使い方 ー 遠まわしな言い方の解釈について

などです。どの層に注目するかによって、言語学内でさらに専門分野に分かれます。例えば、音声学、形態論、統語論、意味論などなど。

 

言葉という漠然としたものを対象に研究するので、応用範囲も多岐に渡ります。代表的なものに、

  • 言葉の授業 ー 語学学校のドイツ語コースなど
  • セラピー ー 標準から離れた発音の矯正
  • ロボット ー 話すときの口の動きの再現
  • コンピューター ー 音声認識システム

などがあります。

 

ざっと代表的な例を紹介しただけなのでまだまだぼんやりしたままだとは思いますが、何となく言語学の姿をつかんでもらえたならうれしいです。個別の例については追々紹介するかも、です。

それではまた次回!☺

 

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【ドイツ語と英語の関わり】音韻末子音の無声化(Auslautverhärtung)

今日は、英語とドイツ語の共通点について短く考察していこうと思います。

 

皆さんは、英語の授業で習った英単語の複数形の規則について覚えていますか?wolf (単)/ wolves(複) みたいな、語尾の子音が変わってしまうあれです。よーく見てみると、何か気付きませんか?

ドイツ語の読み方の規則に、語末子音の無声化(= Auslautverhärtung) というものがあります。Hund と書くのに、hunt という読み方をするというものです。逆に、複数形の Hunde になると、文字通り hunde と読みます。この二つの違いは、語尾の子音が無声(= stimmlos、ここでは t のこと)か、有声(= stimmhaft、ここでは d のこと)かという点です。有声子音と無声子音の違いを専門用語で清濁(= Stimmhaftigkeit)というのですが、t とd は清音か濁音かという点を除いて全く同じ音です。すごくわかりやすい例を挙げると、日本語のひらがなです。

という音を比べてみると、発音する位置は全く変わらないのに、濁点が付くだけで二つの違う音になります。k と g、 s と z などでも全く同じ規則が当てはまります。のように。 日本語のひらがなだと事情は変わるのですが、音声学的にいうと、p と b、f と v にも全く同じ規則が当てはまります。 ドイツ語の relativ という単語は、原形の発音は relatif ですが、活用されて relative になると、relative となります。ここでも違いはf とv、清濁ですね。

 

この知識を基に英語の子音、fとvを比べてみると、ドイツ語と全く同じ現象が起きているのが分かります。原形だと f なのに、複数形では v という形が使われます。ここまで英語とドイツ語が似ているのは、何を隠そう、ドイツ語と英語が非常に近い親戚であるからです。同じような言語の発達をたどり、同じような規則が言葉の中に残ったんですね。

このように、文法の中から似ている点を炙り出して言語同士の親戚関係を洗い出す分野を、歴史言語学(= Historische Linguistik)といいます。文法そのものの偶然の類似性(例えば日本語とフィンランド語など)を見つけて分析する分野を、言語類型学(= Typologie)といいます。

 

昔なんとなく習った英語の文法と、新しく習ったドイツ語の文法が頭の中でリンクした時の喜びは、言語オタクにとってたまらないですよね~。言語学の専門用語を交えながらコアな内容になってしまった今回の記事ですが、気に入っていただけたならうれしいです☺

 

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語学学校から大学へのステップアップ

みなさんこんにちこんばんは。大変お久しぶりです。

最近は、外国で生きていくこと、外国語を話し続けることについて考えすぎて頭がオーバーヒートしておりました。ちなみに、ドイツ語には"Mir raucht der Kopf"(=頭から煙が出る)という表現があります。日本語と同じですね。

今日は、語学学校と大学の決定的な違いについて、私の実体験を振り返りつつお話ししようと思います。

 

語学学校時代、私は常にネイティブと関わりたいのにほとんど交流する機会がないことに辟易していました。だからこそ、日常的に生のドイツ語に触れられるドイツでの大学生活に大きな憧れを抱いたりして。でも、実際に語学学校の外の世界に出てみると、初めて気づくことがたくさんあったのです。

 

学習者であることが当たり前で、語学的な意味でもたくさんのサポートを得られる場所である語学学校と比べて、大学では(当たり前ですが)ドイツ語力というのは最低限の前提条件です。だから語学力を測るテストがあるし、最低限のレベルに到達していないと足を踏み入れることすら許されません。だからこそ、大学に入った瞬間から、私たち学習者には、ドイツ語が完璧にできるネイティブと比べて何重もの語学的なハンデが課されます。

私の場合、大学の諸々の手続きについての説明書きも、授業言語もドイツ語、先生とのコミュニケーションもドイツ語、同期生との会話もドイツ語で、語学学校時代にあんなに憧れていた環境に身を置いているのに、やることが多すぎて頭がパンクしました。

それもそのはず、大学で使われるドイツ語は、語学学校で使われる外国人向けの易しい表現とは違って、やたらと仰々しいものが多いのです。また、日本語でなら普通に知っているであろう大学関連のごく平凡な概念も知らないからこそ、一文一文を理解するのに恐ろしい時間がかかります。

私が何より衝撃を受けたのは、急に、周りから完全な人間として扱われなくなったことです。というのも、言葉という一次的なコミュニケーション手段が不完全であるせいでうまく意思疎通が取れず、何もわからない子供のような扱いを受けること・ドイツ人の学生と同等に扱ってもらえない(と感じる)機会がぐーーーんと増えたのです。私がドイツの大学に入って一番辛かったのは、これです。

緊張すればするほどスピーキング能力は下がるし、パニックになれば理解力も下がるし、っていうか正直先生が言っていることも60%わかればいい方だし、ネイティブ同士で話してると内容なんて全く分かんないし、日本の学校や語学学校で優秀な生徒として通っていた私には耐えられないほど、プライドがズタズタになった瞬間でした。

また、ドイツ人のネイティブも、外国人とドイツ語で話すことにあんまり慣れてなくて、英語で話しかけられるか、ドイツ語から英語に切り替えられるか、飽きてその場を離れられるかが大半でした(私の場合)。夢に見ていたネイティブとのドイツ語生活もうまく叶わないままで、非常にがっかりしたのを覚えています。

私は当時歴史学を専攻していたのですが、語学力に加えて、内容的な基礎がないことも決定的でした。語学学校ではドイツ語さえできればいいのですが、大学では厳しい高校卒業試験を乗り越えてきたドイツの学生たちと肩を並べて勉強しないといけないので、趣味で勉強してきた程度の私のドイツ史に関する知識では全く太刀打ちできませんでした。大学生活一日目にして、数年間追い続けてきた目標があっけなく破れたわけです。

 

というわけで、私の場合ではありますが、語学学校から大学に進むとここまでの違いがあります。私のドイツでの大学生活も明日から5年目に突入しようとしているのですが、ここまでの挫折を味わっておきながら今まで大学になんとか残ってこれたのは、副専攻の日本学と、大学付属のドイツ語コースの力が非常に大きいです。

日本学では、日本語を学び始めた人たちが多く、そこにいるだけでありがたがられるなんていうおいしい状況が生まれたりしました。先生たちも、ただ日本人であるだけで優しく接してくれたので、日本学の人たちとの交流は心のオアシスになってくれました。

また、ドイツ語コースは言わずもがなで、ドイツ語オタクにとっては、新しい文法を学んだり弱点を克服したりしながら存分に褒めてもらえる環境は心の拠り所になりました。私は、語学コースでアカデミックなドイツ語と格闘することによって、大学で学ぶ際に使う表現も少しづつマスターすることができました。

 

というわけで、語学学校から大学に移るときに気を付けたい点は、①ドイツ語学習者というアイデンティティーを受け入れられるか、②評価が急に変わってしまうことの苦しみに耐えられるか、③気を紛らわす環境を整えられるか の三点に集約できるかなあと思います。

ドイツは今新学期シーズンで、心が折れかけている新入生の方もいらっしゃるかもしれません。でも、数年経てばそれなりにドイツの大学生活のやり過ごし方なんてものも見えてくるので、皆さんにもいつか気軽に大学に行ける日が来ることを心の底から祈っています。一人じゃないよ!☺

 

追記:

ついさっき歴史博物館に行ってきたんですが、歴史関連の言葉はいまだにノーマーク過ぎてほぼほぼ理解できませんでした!笑 こりゃあ初心者の私に分かるわけがないと、四年越しに納得しました~。今日やっと、あの時の悔しさをようやく成仏させることができたかもしれません。

自分の興味分野・専攻分野と語学力の関連についても、いつか記事をアップする予定なのでお待ちください。

 

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外国語習得に必要な4つの基本能力⑤ 会話力編 

皆さんこんにちこんばんは。今日は、外国語習得に必要な4つの能力シリーズのラスト、話す力(=以下、会話力)について書いていこうと思います。

 

会話力は、ほかの三技能と比べても断然習得しづらい能力だとわたしは思います。なぜなら、他人とのコミュニケーションを伴う話し言葉の中で、能動的にドイツ語を組み立てることが求められるからです。このために必要になってくるのが、瞬発力と心の強さです。

 

話す行為には、基本的に相手との対話という側面が付きまといます(レコーダーに自分のドイツ語を吹き込むTestDaFの口頭試験を除いて)。会話の中で相手の言っていることを理解しつつ、自分の言いたいことを組み立てて口に出すのは、母国語ではすごく簡単な行為でも、外国語になったとたんものすごくハードルの高いことになります。

なぜなら、ドイツ語で話すためには、自分の持っているドイツ語の知識を総動員しつつ脳みそをフル活用させないといけないから。使いたい言葉をドイツ語で探りつつ、文法にも気を付けて、かつ発音と話す速度と相手のリアクションに気を遣う…なんて、考えただけで頭から煙が出そうになります。

 

 

さて、外国語で話すときに決して忘れていけないのは、最初からすべてを完璧にできる人はいない、ということです。いままで母国語でしか話したことがないと、言葉を話せない自分という存在に戸惑い、話せないことで会話相手に馬鹿にされているような気分になることがあります。でもいままでやったことができないのは当たり前だし、思っているよりも自分のことを理解しようとしてくれるドイツ語話者も多いものです。

 

話す行為を少しでも楽にするためにできるいくつかのことがあります。例えば、発音の練習を徹底的にすること。いちいち頑張らなくても、ちゃんと意味が伝わるレベルの発音(例えばLとRの区別、ウムラウトなど)をできるようになることで言っていることが伝わりやすくなります。

また、作文のために習うような難しい構文を使わないこともすごく大事です。ネイティブの話し方を観察していると、複雑な文は話し言葉では使わないんですよね(これは話し言葉の特徴で、よく研究されているテーマでもあります)。できるだけ簡単な文法を使うことを意識することで、ドイツ語の文章を組み立てるハードルが下がるはずです。

意味を伝えるには、最低限の人称代名詞、格変化、人称変化のようにA1~A2で習うようなことができれば大丈夫です。これがある程度できるようになったら、今度は次のレベルで習う複雑めな時制などを使ってみるのもいい練習になります。

 

外国語で話しているとどうしてもやりがちなのが、自分の文法の間違いを過度に訂正してしまうこと。でもこれは、個人的にはそんなにおすすめしません。なぜなら、日常会話レベルで文法にこだわる人は少ないうえに、視点が文法に移ってしまうことで話の腰が折れてしまうから。ネイティブスピーカーをよく観察していると、彼らもなんだかんだ言ってよく文法を間違えたりしています。これは、ドイツ人に限らず日本人でもどの言葉の話者でも同じです。だから、ドイツ語なんて間違ってなんぼ、くらいの軽い気持ちで話す方がかえって楽になります。

 

最初からドイツ人と話すのはかなりハードルが高いので、自分と同じか、少し高いレベルのドイツ語を勉強している他の学習者と話すのも、ものすごくいい練習になります。お互い同じコースなどに通っているとお互いを助け合いながら話せるので、何人でもいいから同志がいることの利点を使ってみてください。

あとは、自分と同じくらいのレベルの日本語を話せるドイツ語のネイティブのタンデム(語学パートナー)と一緒に練習するのもためになります。ネイティブだからこそ知っているような表現を教えてもらえるのは、タンデムの一番のメリットだと思います。

 

遠回りにはなりますが、個人的におすすめなのは、いろんな人とドイツ語でチャットしてみること。特に発音や会話そのものが苦手な人には、面と向かっての会話くらいの速度はありつつ文字を媒介してコミュニケーションを取れるチャットは心強いかもしれません。

 

さて、会話力を習得するのは至難の業ではありますが、考え方を変えることで楽になる部分も大きいと多いと思います。ドイツ語習得への道は厳しいですが、いろんな人と会話したときに自分の言いたいことが伝わる感覚は、何にも代えがたいものがあります。語学学習の醍醐味ともいえるこの瞬間を味わうために、皆さんもがんばってください☺

 

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外国語習得に必要な4つの基本能力④ 作文力編 

みなさんこんにちこんばんは。かなり長い間放置してしまっていたブログですが、今日からまた引き続き外国語習得に必要な4つの技能について考察していきます。今回のテーマは、書く力(=以下、作文力)について。

 

作文力は、前回二回に渡って考察してきた読解力・聴解力とは違い、能動的な能力です。そのため、ドイツ語を理解するだけでなく、ドイツ語で自分の書きたいことを相手に伝えることが必要になってきます。その際問われるのが、①言語運営能力と②文章力の二つです。

 

①言語運用能力

作文では、第一にドイツ語そのものの良し悪しが評価の対象になります。いわゆるRechtschreibung(=正書法)のことですね。例えば、授業で習った文法が正しく使えているか、暗記の必要な語彙の組み合わせが間違っていないか、綴りが合っているかどうかなどが大切になってきます。レベルが上がるにつれてドイツ語で文章を書くこと自体は楽になってきますが、気を付けないといけない文法の規則も増えます。

語学学校で採点される文章にやたらと文法のミスが多くて驚いた経験はありませんか?私は、返ってくるテキストがほぼ毎回大量に修正されていて気持ちがへこんだことが何度もあります。大抵、自分の見直し不足が原因なんですけどね。

 

②文章力

言語運用能力に加えて重要になるのが、文章力です。そのためにはまず、与えられる課題に対して自分の意見を持つこと、そしてそれを多角的に分析することが大事になってきます。そして、言いたいことを一つのテキストとして論理的に組み立てる力が求められます。

わたしは、渡独してすぐのころ作文が一番苦手でした。なぜなら、何かに対して特に言いたいこともないから…。私の学校では特に自分の意見をまとめる練習はしなかったので、日本語でもできないことをドイツ語で要求されるのは正直苦しかったです。

なぜ文章力がここまで重要かというと、ドイツの学校教育ではまとまりと説得力のある文章を書く能力に非常に重きを置いているから。学校では、どの教科でもテストは大抵記述式とのことです。。

 

さて、作文力を上げるための対策ですが、一番効果があるのは地道に努力することです。①の言語運用能力に関しては、文法・綴りをとにかく練習して、見直しを怠らないことがかなり効果的です。単純ミスが減るだけで、稼げる点数も大きく変わってきます。特にトリッキーなのは格変化ですが、練習しているうちに感覚が掴める日が来ます。

②の文章力に関しては、頭を柔らかくしてテキトーに考えれるようにすることが一番の近道なんじゃないかな、と思います。先生や同級生が作文の内容のせいで態度を変えて来ることはまずないので、自分の意見を持つことと、それを表明することに対する抵抗感を無くすのが大きなカギです。

それに慣れたら、まとまりのある文章を書くために大まかなアウトラインを組み立てる練習ができるようになります。文章を書き始める前に紙の端っこに文章の構成内容を書きだして、論じる順序を決めること。これを習慣づけるだけで、文章を書くのもずっと楽になります。

ドイツ語力が追い付かなくて頭が混乱するときは、まずこれらのことを日本語で練習してみるのも効果的です。母語でできないことは外国語でやろうとしても難しいので、一度日本語を介すことで多少の遠回りになっても、必ず結果につながるはずです。

そして何より大事なのが、とにかく書くこと!何度も練習を繰り返すうちに、何となく文章を書くコツがつかめてきます。語学コースに優しい先生がいるなら、たくさん文章を提出して校正してもらいましょう。特に、作文のテストは自分だけじゃ採点基準が分からないので、プロの助けを借りられるとかなり役に立ちます。

 

作文力は、ドイツで大学に通うことを目標としている人にはほぼ一番大事といっても過言ではない能力です。なぜなら、文章力は大学の成績とほぼ完全にリンクしているから。ドイツでは、数ページにわたって論じさせられる超長い記述式のペーパーテストもざらで、10ページ程度のゼミ論文を欠かされる学科も多いので、ドイツ語で文章が書けないと成績がすごいことになります。トホホ。

 

練習しただけ結果が伴いやすいので、めんどくささに負けずがんばっていると必ず最終的に味方してくれるのが作文力です。みなさんもこつこつ頑張ってみてくださいね。

 

次回は、外国語習得に必要な基本能力の4つ目、会話力について考察していきます。どれではまた次回!

 

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外国語習得に必要な4つの基本能力③ 聴解力編 

皆さんこんにちこんばんは。また明日と書いた次の日には記事を更新しない法則に気付きだした筆者です。さて、今日は前回に引き続き外国語習得に必要な4技能のうちの一つ、聞く力(=以下、聴解力)について考察していきます。

 

聴解力は日常会話において欠かせない能力です。誰かと話していて相手の言うことが理解できないと、会話もそれで終わってしまいますからね。

 

聴解力は、昨日紹介した読解力と違い、話し言葉と深く関係しています。話し言葉の特徴は、比較的簡単な構造が使われること。これは、(録音された音源でない限り)基本的に話し言葉は一度きりしか聞くことができないからです。そのため、話し言葉ではより単純な言い回しが好まれる傾向にあります。

 

ただし、構造自体は単純でも、ドイツ語の音声が聞き取れないと致命的です。

そのため、聴解力アップのカギは、日本語の音声システムとは全く違うドイツ語を耳でキャッチできるようにすること。いわゆる聞き取りですね。ドイツ語には日本語にはない音もたくさんあるので、それらをちゃんと認識できるようになるのが聴解力の基礎です。

基本的に、母国語にない音の違いは認識しづらいことが分かっています。ドイツ語にはLとRという全く違う二つの音が存在しますが、日本語にはそれにあたる音が一つしかありません(ラ形)。この違いを聞き取れない人も多いかもしれませんね。あとは、長いÄと長いEの違い認識するのも比較的難しいです。でも、これらの音がドイツ語にあるのは紛れもない事実。。

おすすめの対処法は、LとRを入れ替えた単語、例えばLindeとRindeなど(いわゆるミニマルペア、das Minimalpaar)を聞いて、二つの音の違いを認識できるようにすることと、日本語の仲介なしでドイツ語の綴りと音を頭の中で直接つなげる訓練をすること。

聞き取りが難しい音の練習動画はいろんな人が出していると思うので、探してみると面白いかもしれません。

初めて聞く単語でも何となく綴りを想像できるようになったら、自力でその言葉の意味を調べられるようになるので心強いです。(単語の綴りが分からない時には、音声認識を使ってなんとなくその単語に似た音を吹き込んでみると案外簡単に綴りが分かったりするのでそれもおすすめです。)

 

また、相手(やCD)の話す速度も聴解力と深く結びついています。基本的に、テストや学習者向けの教材ではドイツ語学習者にわかる速度で話してあります。というのも、脳で処理できる音声の速度は、外国語だと母語に比べて劣ってしまうからです。

前にも触れましたが、基本的に授業で接するドイツ語は学習者にわかりやすいように話す速度が落としてあります。上級レベルに向かうにつれ先生も普通の速度で話してくれるようになりますが、それでも外の世界のドイツ語と比べるとまだ大きな隔たりがあります。

ドイツ人と話すようになってみて、二人きりだと何とかなるけどドイツ人が何人かいてお互いで話してるともう何にも理解できない、なんてことはざらにあります。これは、二人きりだと相手が外国人向けにゆっくり話してくれるけど、ドイツ人同士でゆっくり話す必要はないからです。

 

語学テストの聴解問題や語学学校の教材はあらかじめキーワードが選択肢や教科書に書いてあることが多いですが、日常会話となるとそうはいきません。会話の核になっているであろう単語がわからなくてどうにもついていけなくなることも日常茶飯事だったりします。

そんな時有効なのは、話し相手に分からなかったというシグナルを出すこと。表情で伝えるのも、首をかしげるのもアリです。誰かと話していて内容が分かったか確かめられることもあると思うので、そういう時に正直にわからなかったと言う勇気も大事です。相手は大抵会話しているときの違和感で話が伝わってないことに気付いているので、分かっていないことをごまかしても無駄です(笑)。

もうついていけないと思ったら、はっきりと、もう一回言って(=Noch einmal, bitte)や、何て言った?(=Wie bitte?)と聞き返すのも大事です。もしくは、わからない単語があったら意味を説明してもらう(=Was bedeutet das?)ことも必要です。

このように、会話の中で相手にわかりやすく話してもらっているうちに、コミュニケーション力だけでなく聴解力も上がってきます。

 

さて、上記の練習法以外にも、聴解力を上げる方法がいくつかあります。

一つ目は、地道に語彙を覚えること。言われる言葉の綴りや意味が分かっていると、話される内容の理解力もぐんと上がります。

二つ目は、既習の自分の専門分野の講義やポッドキャストを聞いてみること。この場合、語彙自体は知らないものが多くても、説明されている概念が理解できていることによってテーマとなっている単語を自然と認識できるようになることが多いです。自分の専門分野と関係ある語彙は作文でも活用できるので、いろんな観点からおすすめの練習法です。

 

一度単語を認識すると、やたらその単語が耳につく時期がやってくるのですが、私個人的にはあの感覚がすごい好きです。小さい頃いろんな言葉を覚えて楽しかった気持ちが蘇ってくるからです。

 

基本的にドイツ人向けのコンテンツ(映画やドラマ)は話す速度も速くハードルが高めなので最初から挑戦するのはちょっと難しいかもしれません。でも、内容が面白ければドイツ語に触れるいい機会になるので、自分に合った面白いシリーズを探すのも楽しいかもしれませんね。

 

さて、次回は引き続き外国語習得に必要な4技能のうちの一つ、作文能力についてお届けします。またご覧ください☺

 

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外国語習得に必要な4つの基本能力② 読解力編 

皆さんこんにちこんばんは。今日は、先日紹介した外国語に必要な4技能のうちの一つ、読む力(=以下、読解力)について考察します。

 

ドイツ語を勉強するうえで避けては通れない課題、それはドイツ語で書かれた文章を読むこと。学習レベルごとに出される課題は変わりますが、読解力は初級から上級までレベルに関係なく要求されます。

 

読解力の特徴は何といっても、理解の対象が書き言葉であること。書き言葉は、基本的に話し言葉と比べて文の構造がとても複雑です。例えば、話し言葉でいくつかの文に分けて話される内容も、書き言葉では1文にまとめて書くのが好まれます。

例:Es gibt eine Organisation. Sie helfen Kindern im Armut. Ich unterstütze sie. (口語)

  ある組織があって、そこでは貧困下にある子供を助けてるの。私もその組織を支援してる。

  Ich unterstütze eine Organisation, die Kindern im Armut hilft. (文語)

   (私は)貧困下にある子供たちを支援する組織を支援している。

 

書き言葉は、レベルが上がれば上がるほど構造が複雑になっていきます。上級レベルで習う構文のほとんどが、学術語でしか使われない超難解な構文です。例えば、名詞化(=Nominalisierung)、分詞構文(=Partizipialkonstruktion)など。このレベルの文法だと、日常レベルで使うことはほぼないので、会話でこの構文を使っても瞬時に理解できる人は少ないです。少なくとも、こんな話し方をしてるとほぼ100%変人扱いされます。

例:Ich habe heute viele zu machende Hausaufgaben. (文語、とっても変!!)

  私には今日解くべき宿題がたくさんある。

   Ich muss heute viele Hausaufgaben machen. (口語)

  今日はたくさん宿題をしなくちゃ。

 

このように複雑な構造の文を読むことに慣れるには、やはり文法を理解してしまうのが一番早いです。B2~C1くらいになると、関係代名詞と分詞構文の書き換えの練習や名詞化の練習を集中的にさせられるのですが、個人的にこの練習をしてから読解力がぐんと上がった気がします。

 

読解力の課題には、他の3技能にはないメリットがあります。一つは、正しいアウトプットを求められないこと。これは、テキストを読んで理解するのに必要なのは受動的な能力だけだからです。もう一つのメリットは、話し言葉と違って瞬発力を求められないので、時間に余裕を持って課題と向き合えること。時間がある分、何度も文を読み返して未習単語の意味を推測したり、自力で調べることもできます。

 

読解力のいいところは、練習すればするほど効果が目に見えて実感できるところです。この能力は自己完結なところが大きいので、自分が理解できたか・できなかったかを直に感じられる読解力は努力型の人間の味方です。わたしも、会話力が伸び悩んでいた頃、練習すれば結果が伴う読解力を心の拠り所にしていました。

 

典型的なドイツ語のテストであるTestDaFやゲーテの認定試験の読解力試験は、日本のセンター試験のような選択問題が多いです。そのため、読んだ内容を自分で書きだす必要もなく、慣れてしまえばテスト対策が簡単な分野でもあります。

ただ皆さんに注意してほしいのは、ドイツ語を勉強する際にテスト対策だけを目的としないこと。テストで高得点を取るための小手先のテクニックを使っていると、後から選択肢のないまっさらなテキストを読んだとき、文の大意や大事な発言を自分で読み取る能力が鈍ってしまいます。私はこの罠にはまって大学に入ったときに苦労したので、ドイツ語を皆さんにはあくまで自力で文章を理解する能力を伸ばしてほしいな~と思います!

 

さて、読解力アップにつながる練習法は、まずドイツ語そのものを読むことに慣れること。おすすめなのは、いきなり読みたい本(大人向けの小説・古典文学や学術書など)から始めるのではなく、まずはシンプルな文章を読むこと。

おすすめなのは、

 -  学習者向けのテキスト (各レベルで出てくる文法・語彙を使って書かれた推理小説などがドイツ語教材の大手出版社から出ています)

 -  児童文学 (中・上級以上になるとミヒャエル・エンデなどのファンタジーもおすすめです)

 -  翻訳された本 (ハリーポッターなど、内容を知っているもの+翻訳過程で文が簡略化されることが多い)

を読むことです。

また、自分とモロに関係のある文章も理解力アップに一役買ってくれます。例えば、

 -  希望大学の募集要項(=Bewerbungskriterien)やシラバス(=Vorlesungsverzeichnis)

 -  自分の専攻科目と関係のあるポピュラーサイエンス系の記事 (Deutschlandfunk Nova等)

 -  すぐに知識を自慢できる時事ネタ(Deutsche Welle)

などがおすすめです。

 

明日は、4技能のうちの2つ目、聴解力について考察します☺

 

おすすめサイト:

https://www.dw.com/de/themen/s-9077

(Deutsche Welle)

https://www.deutschlandfunknova.de/

(Deutschlandfunk Nova)

 

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ドイツ語文法用語リスト

ドイツ語の文法用語そのものが分からなくて授業についていけなくなる現象を防ぐために、今日は文法用語のリストを用意しました。用語の種類・使用されるコンテクストによって項目を分けています。

これを暗記する必要は全くないですが、授業でわからない文法用語が出てきたらこのページを検索してみてください(コントロールキー,ctrl/strg+f)。

 

1.1 文の成分 (das Satzglied, -er)

 主語   das Subjekt 
 述語   das Prädikat 
 直接目的語   direktes Objekt 
 間接目的語   indirektes Objekt 
 修飾語   das Attribut 
 副詞句   das Adverbial/die Adverbialbestimmung 

 

例:Sie mag weiße Blumen.

  S    P      Att.     d.O

  彼女は白い花が好き。

  Ich schenke dir zu deinem Geburtstag blaue Blumen

  S        P        i.O               Adv.                Att.      d.O

  (私は)君の誕生日に青い花をあげる。

  Er hört mir aufmerksam zu.

  S    P    d.O      Adv.          P

  彼は私(の話)を注意深く聞いている。

 

注:文法の説明では、P(=述語)はV(=動詞)として紹介されることが多いです。言語学以外では、この二つの単語は類義語として扱うことが可能です。

 

1.2 修飾句の種類 (Arten von Adverbialbestimmungen)

 時間に関する記述   temporales Adverbial, die Zeitangabe 
 原因に関する記述   kausales Adverbial 
 様態に関する記述   modales Adverbial 
 場所に関する記述   lokales Adverbial, die Ortsangabe 

 

例:Meine Hände haben während der Klausur wegen der Angst wie Espenlaub gezittert.

               temp.A                   kaus.A             mod.A

  試験中緊張で手がヤマナラシのように(=ブルブル)震えた。

  Letztes Jahr war ich mit meinen Freunden in der Schweiz.

    temp.A                          mod.A                   lok.A

  去年(私)は友達とスイスにいた。

 

1.3. 文の種類 (die Satzart, -en)

 主文   der Hauptsatz   Ich gehe zur Schule, weil ich sieben Jahre alt bin. 
 副文   der Nebensatz   Ich gehe zur Schule, weil ich sieben Jahre alt bin
 肯定文   der Aussagesatz, deklarativ  Ich gehe zur Schule 
 否定文   die Negation, die Verneinung   Ich gehe nicht zur Schule. 
 疑問文   der Fragesatz, interrogativ  Gehst zur Schule? 
 命令文   der Aufforderungssatz, die Befehlsform, imperativ   Geh zur Schule! 

 

1.4. 副文の種類 (die Arten der Nebensätze)

 der Ergänzungssatz   Er weiß, dass ich zur Schule gehe
 der Temporalsatz   Ich war ein Kind, als ich zur Schule gegangen bin
 der Kausalsatz   Ich brauche mein Mittagsessen mitzunehmen, weil ich zur Schle gehe
 der Konzessivsatz   Ich weiß nicht alles, obwohl ich zur Schle gehe
 der Finalsatz   Sie hat mir das Alphabet beigebracht, damit ich zur Schule gehen kann
 der Konditionalsatz   Ich werde Englisch lernen, wenn ich zur Schule gehe
 der Konsekutivsatz   Ich bin neugierig, so dass ich gern zur Schule gehe
 der Adversativsatz   Während ich zur Schule gehe, muss es meine Schwester noch nicht. 
 der Modalsatz   Ich lerne viel, indem ich zur Schule gehe

 

2. 品詞名 (die Wortart, -en)

 名詞   das Nomen, das Substantiv   Auto, Hund, Information ... 
 代名詞   das Pronomen   ich, ihr, das ... 
 動詞   das Verb   haben, sein, essen ... 
 形容詞   das Adjektiv   gut, bitter, niedlich 
 副詞   das Adverb   sehr, heute, vielleicht ... 
 前置詞   die Präposition    an, mit, entlang ... 
 冠詞   der Artikel   der, mein, eine ... 
 接続詞   die Interjunktion, das Bilndewort   und, weil, obwohl ... 
 感動詞   die Interjunktion   ja, okay, hallo ... 
 心態詞  die Abtönungspartikel  eben, 文中のja, 文中のaber ... 

 

3. 代名詞のサブカテゴリー (die Subkategorien von Pronomen)

 人称代名詞   das Personalpronomen   mich, du, euch ... 
 再帰代名詞   das Reflexivpronomen   sich, mich, dich ... 
 所有代名詞   das Possessivpronomen   Ihr, mein, dein ... 
 指示代名詞   das Demonstrativpronomen   das, jenes, dies ... 
 疑問代名詞   das Interrogativpronomen   was, welches, wer ... 
 関係代名詞   das Relativpronomen   der, das, denen ... 

 

4. 動詞の種類 (die Arten von Verben)

 定動詞   das Vollverb   machen, gehen, lieben ...
 繋合動詞   das Kopulaverb   sein, werden 
 他動詞   transitives Verb   trinken, sehen, kochen ... 
 自動詞   intransitives Verb   gehen, kommen, existieren ... 
 再帰動詞   reflexives Verb   sich bewegen, sich freuen, sich bewerben ... 
 機能動詞   das Funktionsverb   in Betracht ziehen, in Vergessenheit geraten, Anerkennung finden ... 
 強変化(=不規則)動詞   starkes Verb   laufen, essen, trinken ... 
 混合動詞   gemischtes Verb   wissen, denken, kennen ... 
 弱変化(=規則)動詞   schwaches Verb   machen, schmecken, hören ... 
 分離動詞   trennbares Verb   ansehen, mitbringen, ausgehen ... 
 非分離動詞   untrennbares Verb   entsprechen, verabschieden, betrachten ... 
 話法の助動詞(英語で言う助動詞)   das Modalverb   können, müssen, sollen ... 
 助動詞(時制の変化を表す際使われる)   das Hilfsverb, das Auxiliarverb   Ich bin gelaufen. Sie wird bald nach Hause kommen. Er hat Brot gegessen. ... 

 

4.1 動詞の活用 (die Verbflexion)

 不定詞   Infinitiv   lieben/erkennen/aufräumen 
 活用動詞   finites Verb   du liebst/sie erkennt/ich räume auf 
 現在分子   Partizip Präsens/I (eins)   liebend/erkennend/aufräumend 
 過去分詞   Partizip Perfekt/II (zwei)   geliebt/erkannt/aufgeräumt 

 

 4.2 動詞のモード (das Verbmodus) 

 直接法   Indikativ   Du trinkst viel./Sie essen Reis./Ihr liebt Schokolade. 
 命令形   Imperativ   Trink viel!/Essen Sie Reis!/Liebt Schokolade! 
 接続法一式   Konjunktiv I   Du trinkest viel./Sie essen Reis./Ihr liebet Schokolade.
 接続法二式   Konjunktiv II   Du tränkest viel./Sie äßen Reis./Ihr liebtet Schokolade. 

 

注:接続法第二式の活用は非常に複雑なため、使われることはほぼありません。そのため、接続法第二式は基本的に助動詞”würde”を使って表されます。また、接続法第一式は基本的に新聞記事・ニュースでしか使われません。

 

4.3 受動態・能動態の違い (die Handlungsform, Genus verbi)  

 能動態   das Aktiv   Ich koche eine Suppe. 
 受動態   das Passiv   Eine Suppe wird gekocht. 

 

4.4 時制 (das Tempus)  

 現在形   das Präsens, die Gegenwartsform   Ich koche eine Suppe. 
 現在完了形   das Perfekt   Ich habe eine Suppe gekocht
 過去完了形   das Plusquamperfekt   Ich hatte eine Suppe gekocht
 過去形   das Präteritum, die Vergangenheitsform   Ich kochte eine Suppe. 
 未来形   das Futur, die Zukunftsform   Ich werde eine Suppe kochen
 未来完了形   das Futur II (zwei)   Ich werde eine Suppe gekocht haben

 

5.1 数 (der Numerus)

 単数形   der Singular   eine, das, dem ... 
 複数形   der Plural   die, den, der ... 

 

5.2 性別 (der Genus)

 男性  das Maskulinum, männlich   der, den, dem, des ... 
 女性   das Femininum, weiblich   die, der ...  
 中性   das Neutrum    das, dem, des ...  

 

5.3 格 (der Kasus, der Fall)

 1格、主格   der Nominativ, erster Fall   der, die, das, die ...  
 4格、対格   der Akkusativ, vierter Fall   den, die, das, die ...  
 3格、与格   der Dativ, dritter Fall   dem, der, dem, den ...  
 2格、属格   der Genetiv, zweiter Fall   des, der, des, der ...  

 

6. 比較級 (die Komperativbildung)

 比較級   der Komperativ   besser, schneller, schöner ...
 最上級   der Superativ   am besten, am schnellsten, am schönsten ... 

 

7. その他 (Sonstiges)

 (形容詞の)名詞化   die Subsantivierung   das Rote, das Gute, das Beste ... 
 (一般的な)名詞化   die Nominalisierung   die Auslassung (<auslassen), das Schreiben (<schreiben), der Bezug auf (<sich beziehen auf) ... 
 機能動詞句   die Funktionsverbgefüge (FVG)   in Betracht ziehen, in Vergessenheit geraten, Anerkennung finden ... 
 コロケーション   feste Verbindung, feste Kombination   teilnehmen an, diskutieren mit, denken an ... 
 ことわざ   die Redewendung   jemandem den Bären aufbinden, Übung macht den Meister ...

 

8. ドイツ語のバリエーション (Variationen der deutschen Sprache)

 文語的   gehoben, stilistisch 
 口語的   vulgär, umgangsprachlich 
 専門用語的   fachsprachlich 
 学術用語的   bildungssprachlich 
 外国語としてのドイツ語   Deutsch als Fremdsprache (DaF) 
 第二言語としてのドイツ語   Deutsch als Zweitsprache (DaZ) 
 学術語としてのドイツ語   Deutsch als Wissenschaftssprache 

 

このサイトでは、文法の授業から一歩進んで文法の奥に隠されたドイツ語の秘密を解き明かしていきたいと思います。お楽しみに☺

なお、例文・説明記事等順次追加していきます。

 

追記: 2019/2/3 用例を追加しました。

    2019/2/5 1.4. 副文の種類を追加しました。

    2020/3/19   おすすめサイトを追加しました。

 

参考サイト:

東京外国語大学言語モジュール (日本語)

canoo.net (ドイツ語)

Das Institut für Deutsche Sprache (ドイツ語)

mein-deutschbuch (ドイツ語)

 

おすすめサイト:

http://www.harada.law.kyoto-u.ac.jp/hdg/grammatik.html (日本語)

 

おすすめ書籍:

清野智明著 ドイツ語のしくみ

清野智明著 中級ドイツ語のしくみ

 

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